【西潟正人】簡単!カワハギのさばき方、肝と皮の美味しい食べ方~how to fillet a filefish,sashimi,Japanese

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日刊ゲンダイ好評連載
「捌きも調理も10分  魚食いの実況中継」西潟正人より(2018年12月12日付)

カワハギ
 仲間のウマヅラハギに対抗して、カワハギは本カワハギと呼ばれることもある。本ガツオや本マグロも同じで、魚に貴賤はない。
 フグ目カワハギ科には29種もあって、ほとんどが南方系。ところが、カワハギとウマヅラハギは青森県にも分布する沿岸魚だから、全国的に広く知られる。
 近年、ウマヅラハギは養殖も行われるようになり、高級魚の仲間入り。だが釣り船でも料亭でも、人気はカワハギに及ばない。旬は肝が充実する、秋口から冬場。春の産卵期になると、身は痩せてしまう。
 脂がたっぷり乗って丸々と太った、15~20センチモンがいい。成魚に満たない小型は、幼い味でしかない。大きすぎる老体もまた、骨張っているだけだ。そんなやつは皮を剥ぐと、失敗に気づく。
 カワハギほど、健康状態が肝に出る魚は少ない。脂肪肝を極上として、やがて栄養は卵巣へ運ばれる。産卵が済むと、肝硬変のように萎縮してしまう。味わうなら、今しかない。

 後頭部に伸びる一本のトゲの際から、背骨まで包丁を入れる。頭部を右手につかんで下方に引きちぎると、胴部と分かれる。
 内臓が詰まっている頭部から、胆のう(苦玉)をつぶさないように取り外す。大きな肝は別に取り置いて、頭部と胴部の表皮を剥いだら、頭部は塩焼きにする。
 三枚おろしは、基本通り。2枚の片身は、血合い骨を切り取って4本のサクにする。2本の背身と2本の腹身のサクには、まだ薄皮が残っている。
 薄皮面をまな板につけて、薄皮がまな板に残るように身を薄くそぎ切る。皿には中骨を敷き、塩焼きした頭部を左向きに置く。薄切りした身は、広がるように盛りつけるといい。まな板に残った4枚の薄皮は、竹串に巻いて軽く塩焼きに。肝は包丁でよく叩いてから、刺し身の傍らに添える。

 カワハギの薄造りは、肝と和えたポン酢しょうゆがおすすめ。箸休めに頭部のほほ身をしゃぶり、軽くあぶった薄皮のウマいことよ。
 食べた者しか分からない、この喜びは酒なくして語れない。
 大当たりのカワハギに出合うと、やっぱり降参してしまう。
 おちょぼ口で、岩肌を絶えずつついているからだろうか。ウマ味が、小さな体に凝縮している。ときに、外れもあるが……。

 後頭部に伸びる一本のトゲの際から、背骨まで包丁を入れる。頭部を右手につかんで下方に引きちぎると、胴部と分かれる。
 内臓が詰まっている頭部から、胆のう(苦玉)をつぶさないように取り外す。大きな肝は別に取り置いて、頭部と胴部の表皮を剥いだら、頭部は塩焼きにする。
 三枚おろしは、基本通り。2枚の片身は、血合い骨を切り取って4本のサクにする。2本の背身と2本の腹身のサクには、まだ薄皮が残っている。
 薄皮面をまな板につけて、薄皮がまな板に残るように身を薄くそぎ切る。皿には中骨を敷き、塩焼きした頭部を左向きに置く。薄切りした身は、広がるように盛りつけるといい。まな板に残った4枚の薄皮は、竹串に巻いて軽く塩焼きに。肝は包丁でよく叩いてから、刺し身の傍らに添える。
 
 ◆にしがた・まさひと
 1953年、新潟県生まれ。服飾の仕事をしながら、インドなど世界を放浪。魚好き、料理好きが高じて地魚料理店「魚屋(うおや)」を、神奈川県逗子市で20年間営む。2014年より品川『あじろ定置網』店の運営に参画。2017年から東京海洋大学・海洋生命科学部非常勤講師(魚食文化論)。

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