簡単!【西潟正人】ヒラメのさばき方、昆布締め、煮付けの作り方~how to fillet a flatfish,sashimi,kobujime

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◆魚食いの実況中継「ヒラメ」西潟正人(日刊ゲンダイ2019年3月20日付より)
 ヒラメやカレイの仲間は、体が平たく扁平(へんぺい)している。色の浅黒い方に両目があるから有眼側で、白っぽい方を無眼側という。どちらにも背部と腹部がある。目がある方を表、ない方を裏と呼びたくなる気持ちは分かるけど、それは間違い。
 実は、ふ化してから数週間は普通魚の格好で泳ぎ、やがて目の位置が左に寄って扁平するとヒラメ、右に寄るとカレイになる(例外もある)。魚屋で見慣れているわりに、奇妙な生き方をしている魚だ。
 カレイに代表されるマコガレイは、砂虫などを漁って食べるため、口が小さい。ヒラメは主に魚を捕食する。口が大きくて、鋭い歯を持っているのはそのためだ。
 両者とも初春が産卵期で、体力が充実する冬場に旬を迎える。ヒラメは、もちろん刺し身。マコガレイは、卵をたっぷりと腹に抱えた煮つけが総菜として喜ばれる。
 ところが盛夏を迎える頃、マコガレイは超高級魚に様変わりする。次の抱卵に備えて、身の厚みがグンと増すのだ。ヒラメの産卵は、マコガレイほど疲弊がないようだ。

 煮つけ用はぶつ切りでいい。ヒラメが一匹丸ごとスーパーに並ばないのは、家庭でおろすのが面倒がられるからだろう。
 しかし、魚は一匹で買う方が、捨てられてしまう部位も利用でき、結果的に安上がりだ。
 プロ並みの技術はいらない。細かいウロコは、ヌメリと一緒に金ダワシで洗い落とす。腹を開きエラと内臓を除いたら、血合いを切って水洗いする。後頭部から肛門に向かって、一直線に頭部を大きく切り取る。頭部は、昆布を敷いた薄味で煮つける。
 残った胴部は、身の厚い有眼側から開く。ヒレ際の周囲に包丁目を入れてから、真ん中の側線に沿って背骨に当たるまで切る。
 包丁を中骨に沿わせて、腹身と背身を切り取る。無眼側も同様にすると、1枚の中骨と4本のサクが残って、五枚おろしの完成だ。

 人気のヒラメの「エンガワ」は、無眼側が大きい。身の透明度と厚みは有眼側が勝り、無眼側はやや白濁する。味の違いより、もっちりとした背身に人気が集まるようだ。
 外食するヒラメには、透き通るほどの薄造りが多い。1センチほどの厚さでサイコロ状に切り、塩ワサビだけで一杯やるのもいい。夜半の、独り酒である。

◆にしがた・まさひと 魚の伝道師。東京海洋大海洋生命科学部非常勤講師(魚食文化論)。
#西潟正人#ヒラメ#日刊ゲンダイ

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