【西潟正人】カサゴ&ウッカリカサゴ料理 簡単プロ技でマース煮&姿造り~Japanese rockfish cooking,sashimi

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 カサゴは日本各地の岩礁域にいて、地方名が多い。見分けにくい仲間も多くいてカサゴ目の集団に分類されていたが、近年、スズキ目メバル科カサゴ属に整理された(「日本産魚類検索 全種の同定第三版」2013年)。
 本種のカサゴは、堤防釣りでお馴染み。岩の隙間なら、どこでも潜んでいるようなアイツだ。深い所では25センチ級も見られるが、足元なら10センチあれば上等だろう。
 背ビレをピンと張った瞬間は威風堂々とした姿なのに、家に持ち帰るとシュンとして見る影もない。少年時代を新潟の出雲崎で過ごした、懐かしい思い出だ。関西でガシラ、九州でアラカブ、四国でホゴ、和歌山ではガガネと呼ばれる。
 よく似た大型種は、50センチを超すウッカリカサゴだ。新種を外国人に発見され、日本の魚類学者が「ウッカリしてました」と弁明したとか。色模様も変化に富むカサゴ属はプロだって見間違えるほどだ。

 カサゴ属の特徴は頭部がデカイことだろう。体の3分の1を占めて、胸ビレ際からの胴部はほっそりとしていて、大きく膨らんだ腹部は皮ばかり。
 ずうたいの割にはガッカリさせる魚だが、彼らを侮ってはいけない。白身の抜けるような美しさ、刺し身を噛みしめて香る甘さである。一度食べたら、頭デッカチなんて文句は言えないだろう。
 下ごしらえは、基本通りだ。後頭部から包丁を入れて中骨を切断したら、肛門まで腹皮も一緒に落としてしまう。頭部は二つ割りにして、味噌汁にするといい。赤ダシならいっそうカサゴ味が引き立つ。
 胴身を三枚におろしたら、皮を引いて血合い骨を切り取り、4本のサクにする。左右の背身が2本、腹身が2本の勘定だ。
 サク取りをして白身の輝きに気づくだろう。細胞に含まれた脂が、ほかの魚と違うようだ。動き回らない魚のくせに、アスリートの筋肉である。

 赤い灯台へ向かう長い防波堤は、所々が自然石で、絶好な穴場があった。エサを付けた仕掛けをゆっくり落とすと、行く先は奈落の底に思えたものだ。ゴツンとした重みが細い糸に伝わって、やみくもに逃げ惑うヤツがいた。魚屋で小さなカサゴを見ると、私は岩の隙間を思い出す。
(西潟正人「魚食いの実況中継」=日刊ゲンダイ2019年4月17日号より)
 ◆西潟正人(にしがた・まさひと)=魚の伝道師。東京海洋大海洋生命科学部非常勤講師(魚食文化論)。

#西潟正人#カサゴ料理#日刊ゲンダイ

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